医学を志す若者たちに「希望の種」を蒔く。

  
カンボジアでは、内戦の影響で医療従事者がいなくなり、生き延びた医師はわずか20人といわれます。現在でもカンボジアの大学には医学部が少なく、年間600人程度しか入学できません。医学部卒業後は2年ほど病院研修を受け、そのあと試験を受け医師資格を取得できます。しかし専門医になるには、さらに大学で4年間の専門研修を受けなければなりませんが、その4年間には奨学金制度がありません。
現地の貧富の差は激しく、そういった経済的な理由で諦める学生も少なくありません。地方の学生などは優秀であっても大学へ進学することすらできないのです。
このような事情から、産婦人科や小児科の専門医と助産師が不足し、カンボジアにおける妊産婦や新生児の死亡率が高く、今もその状況は改善されていません。
わたしたちは、日本語学校「WAT月下」の閉校によるカンボジアでの教育への支援を途絶えさせてはいけないと考えました。そこで2017年2月、新たに医学・医療を志す若者に対し、学費援助をはじめとした支援活動を展開する「一般社団法人 みらいアンコール基金」の立ち上げに至りました。夢を持ち、学びの道を歩む若者たちを支えたい。わたしたちはこの想いを胸に、種を蒔き、みらいの花を咲かせるために歩み続けます。

アジアの若者たちの瞳の輝きに感銘を受けて

  
私は母子家庭で育ちました。母の働く姿を見て、いつか社会の役に立ちたいと「医師」を志すようになりました。しかし、経済的な事情で挫折しかけたこともあります。そんなとき、公的な奨学金制度が助けてくれました。つまり、社会の皆さまのお力添えのおかげで、いまの私があります。
恩返しをしなくてはと考えていたとき、「WAT月下」という日本語学校の医学研修生と出会い、彼らの瞳の輝きに深い感銘を受けました。もし、若者が経済的な事情で夢を諦めるとすれば、それは悲しいことです。そのようなことがないよう、微力ですが「みらいアンコール基金」を立ち上げることにしました。私たちのこのささやかな活動が、いつか若者たちの「心の支え」となることを願っています。
 

プロフィール
一般社団法人みらいアンコール基金
理事 石渡 瑞穂 Ishiwata Mizuho
産科・婦人科 札幌みらいクリニック院長/医学博士
日本産科婦人科学会 認定専門医/母体保護法指定医
筑波大学 医学群 卒業、東京大学 医学博士課程 修了。

カンボジアで医学を志す若者に、今できること。

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